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 もちろん、それまでも、紅軍は敵の秘密謀略に対抗する委員会をもっていた。しかし、とくに反革命対策特別委員会を組織して、真剣に活動を始めたのは、吉安事件以後のことだった。


 AB団の暗号が解読されたからあとでさえ、朱将軍によれば、紅軍はだれひとり逮捕しなかった。そして、新設された特別委員会のものが、AB団員と友だちになり、その秘密グループに加わり、敵の全組織網がわが方の手中にはいるまで活動をつづけた。


 そのころ……と、朱将軍は、恐ろしい悪夢を思い出したかのような表情で声をつよめた。


 「われわれのもっともすぐれた多くの同志が暗殺された。また、東固部隊として編成されていたわが軍の一部が、東固の地主の息子たちの指導のもとに反乱をおこし、その結果、すさまじい混乱と疑惑の空気が作りだされ、だれもが自分の兄弟を信用していいものかどうか、わからないような状態におちいった。AB団員は、そっと、いくつかの迷信的な宗教団体を組織し、紅軍の滅亡を予言させていた。彼らは、こうしてわれわれを大衆から孤立させようとした。そのためには、彼らは『自由恋愛会』さえつくりあげて、そこで地主どもは、自分の家族の女たちまで動員して、紅軍の戦士たちを堕落させようと駆けまわった」


 紅軍は、道徳についてはきわめて厳密な規律をもっていた。このような規律がなかったならば、農民はかならず紅軍と衝突しただろう。そして紅軍が、その道徳性の高さについて、非常に評判がよかったからこそ、地主どもは、これをぶちこわそうとして躍起になったのだ。だが、それは失敗に帰した。朱徳がこの問題に対処したやり方は、直接、兵隊にぶつかって、AB団がつかっているあらゆる戦術を説明し、警戒心をよびおこすことだった。また、彼と毛やその他の指導者の身辺は、特別に訓練された護衛兵が警戒にあたった。しかし、AB団の根を永久に絶滅してしまうまでには、3人の護衛兵が暗殺されてしまった。



by far-east2040 | 2018-11-16 09:00 | 第7巻「上杭の歌」改編