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南昌蜂起は、敵の体制を混乱させてしまったので、「鉄軍」は、江西省の南端に達するまでは、まったく抵抗を受けなかった。

地主たちは、まだこういう情勢をほとんど知らなかったので、平気でやってきて、朱徳の先鋒隊と、穀物の取引でひどいかけひきをしたりしていた。


「私も、農民の状態を勉強するひまがあった」と朱将軍は話す。
「江西省の農民も、私の郷里の百姓と同じように、ひどく圧迫されていたが、それよりもっとひどく困窮し、絶望的な状態で、これを宿命として、あきらめの生活をおくっていた。


「江西省の大部分は山地で、作物の収穫はとぼしい。
地主は、小作料として収穫の七割をとっていたし、たいていの百姓は、毎年、地主から高利の借金をしなければならなかった。
その結果、百姓は、息子や孫にいたるまで、この借金にしばられて、永久に地主の奴隷状態におちいっていた。

百姓がどんなに貧乏だったかは、鍋についている油を最後の一しずくまできれいにすすりとっていたことや、ときたま一にぎりの塩を買うのがやっとだったことからも、想像できるだろう。

彼らは、水をもった鉢に一つまみの塩をとかしておいて、食事のとき、野菜を1切れずつひたして食べていた。

みんなやせこけて、半裸で、文盲で、暗い不潔な小屋に住んでいた。
その村々は、門が一つしかない、高い泥の壁でかこまれていた。


「石城県は、ほかの多くの県の典型だった。
この県の土地の大部分は、レイ一家が所有していた。
この家族からは、二人の男が国民党軍の将校になっていた。
その一人は、自分の直系地方軍をもっている将軍であった。

この一家は、町に大邸宅をもっているだけでなく、田舎にも、昔の山で囲まれた要塞の中に、大きな邸宅をもっており、そこへ、穀物や、金やその他の財宝をためこんでいた。
農奴にひとしい小作人がこの一家の土地を耕していた。
そのうえ、レイ一家は、数百人の農業労働者を使っていたが、この農業労働者は、本当の奴隷で、どんなに働いても、まずしい食べものと、おんぼろ小屋と、レイの家族が着古してすてた古着しかもらえなかった」



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by far-east2040 | 2018-10-15 09:00 | 第6巻「土地革命の開始」改編