2018年 08月 30日 ( 1 )

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中国の旧暦の正月がきた。
戸ごとに、正月を祝う赤い紙がきらめき、料理店や、金持ちの家からは、音楽がひびいていた。

南江西の瑞金という小さな県城では、ちょうど、江西省軍一個連隊が帰ってきて、「朱毛匪」の大部分を皆殺しにして、敗残兵は福建省境の向こうに追っぱらったと、その状況を報告していた。

この大手柄の褒美として、街の要人たちは、連隊のために正月の大宴会をひらいて招いた。

酒杯のひびき、料理の香にまざって、哄笑がわきあがっていた。
建物の中にしつらえられた、長いテーブルの上には、赤いろうそくがいくつもかがやいていた。
連隊中がすっかり安心しきっていたので、歩哨さえ、一人も任務についていなかった。


テーブルの上にご馳走がならべられ、兵士たちが席について、箸をとりあげたその瞬間、なにか、弾丸がとぶようなヒュッという音がした。

たちまち、一座は、しんとして、深い沈黙におちいった。

彼らが、驚きのあまり、口をあんぐりとあけて、呆然と見つめているなかを、森の狼のように、やせた「朱毛匪」が、まるで地中からわいてきたようにあらわれ、銃をかまえて、部屋の中に長い列を作って立ちならんだ。

しゃがれ声の号令がかけられると、彼らは、ひとりの人間のようにいっせいに立ちあがり、両手を頭上高くさしあげて、闇の中に出ていった。

外には、ぼろをきた、別の幽霊が待っていて、大きな石造りの寺院に彼らをとじこめ、見張りに哨兵をたてた。


「われわれは、やつらの正月の御馳走を、すっかりたいらげた」と朱将軍は大笑いした。

「翌朝、われわれは、北東に進み、大柏地の山地へはいっていった。
その後から、約一個師団の敵の部隊が、二つの方向から、われわれにせまっていた。
しかし、われわれは、できるだけ早く歩いて、余裕をつくり、会議をひらいて、追撃者を今回限りで、徹底的に追いはらおうと決議した。

わが部隊は、戦闘計画を討議して、あらゆる点をはっきりさせた。
それから、大衆集会をひらいて、敵を皆殺しにするか、そうでなかればたたかって死のうと、拳をあげて、誓った」



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by far-east2040 | 2018-08-30 09:00 | 第6巻「土地革命の開始」改編