傲慢な張将軍の最期 『偉大なる道』第8巻①ー7

f0364260_09305671.jpg


朱将軍と、捕えられたばかりの張輝サン将軍との対談は、そのまま劇になるようなものだった。

とらわれの将軍は、階級の記章でかざられた、すばらしいカーキの軍服を着て、ピカピカの黒長靴をはいて、朱徳の司令部に送りこまれてきた。

そこで彼は、まるで苦力のような、ぼろ服を着たやせこけた男が何人かいるのを見た。

朱将軍は、つめたくきびしい声で、「あいつは、われわれを無知蒙昧な匪賊と見て、こんなものは自分の残りの2師団ですぐに敗ることができ、自分はそれで自由になるのだ、と信じていたにちがいない。


「だから、敗北して捕らえられたことで弱っていたが、それでもまだ傲然として、私を手玉に取ろうとした。
太った男で、あいつの司令部にはありとあらゆるおいしいものがいっぱいあり、乗馬は持ちながら、旅をするときは、人間の背にかつがせる駕籠椅子をつかった」


張将軍の最後の傲慢な質問は「わしの身代金はどのくらいほしい」だった。
朱徳は威厳をもってこたえた。

「わしは商人ではない! 
お前を、お前の部隊と、それから江西省西北部でお前に家族を殺されたわが軍の一部隊の前に引きずり出して、裁判にかける」

捕虜将軍の傲慢は少しくじけたようだった。


「私は彼にたずねて」と朱将軍はいった。
「われわれが設立する計画の新軍官学校で教える意思はあるか、とためしてみた。
その気はある、とあいつは答えたが、じつは、――他の師団がきて救出してくれることを期待しながら、時をかせごうとしているにすぎない、ということは私はわかっていた。
それから私は、われわれは次にどの白軍を攻撃すべきか、君の意見をきかせてくれ、といった。私がこの男の意見など聞く必要はなかった、というのは、わが軍は、すでに彼の第五十師にむかって進撃していた。
だが私は、こいつはどんな男か、ということを試してみたかったのだ。
彼は、それは十九路軍を攻撃すべきだといい、その軍に関する軍事的情報すらしゃべったが、それはわれわれの情報網の報告と合致していた。
あいつは、味方を裏切りながら、われわれを手玉に取っていると思っていたのだ」


朱将軍は、「張将軍に彼の他の師団もどんなふうに撃破できるか、ちょっと見せてやろう」と思って、彼と部下の士官どもを連れ出して、紅軍が次の24時間以内に第五十師団を破るところを見せた。

紅軍はそれから旋回して東固の第二十八師団に向かった。
その師団は逃げた。

そのときすでに、十九路軍は、興国から撤収をはじめ、はるか南の故郷広東省に帰着するまでは、とどまらなかった。


第十八師団に対する勝利ののち、3週間とたたないうちに、敵の諸軍は、紅軍の迅速な攻撃によってくずれてしまい、第1回の紅軍せん滅作戦はぶざまな失敗におわった。

張将軍は、彼の幕僚とともに、3千の旧部下の兵、東固の人民たち、彼に家族をほろぼされた黄公略軍の兵たちの前で、裁判にかけられた。

朱徳がいうには、もはやそのころには、張将軍の傲慢は、恐慌に変わっていた。

彼は、幕僚とともに死刑の宣告をうけ、彼のために家族をほろぼされた兵たちによって、斬首された。



by far-east2040 | 2019-01-11 09:00 | 第8巻「紅色方陣」改編