夜の上杭襲撃 『偉大なる道』第7巻②ー3

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宵闇が立ち込めてくると、上杭はまるでおとぎ話の国のようになった。

上杭には発電所があり、市の支配者と守備隊は城壁のてっぺんにぐるりと電燈をぶら下げていた。

彼らはおろかにも、これで、夜間城壁の上を巡察する哨兵が、城壁の下に近づく、あらゆる攻撃者を発見することができると信じていたのである。

しかし本当は、電燈は城壁の上の哨兵だけを照らし出しているにすぎなかった。

だから、赤衛隊が闇にまぎれて川をわたり、馬蹄型の地帯にはい上がって、城壁の上の電燈をひとつずつ射ちくだくことができたのである。

電燈は、「射撃演習の的にするために」そして敵を混乱させるためにあったようなものだ、と朱将軍は微笑しながらいった。

ところが、市を守っていた敵軍は、もはやこの種のいやがらせ襲撃にはほとんど注意をはらわないようになっていたので、これも、その夜の襲撃を有利に展開することができた事情のひとつであった。


月があがってから、作戦計画が実行にうつされた。

農民たちは小舟を集めてきて、市をとりまく馬蹄型地帯へ南側から川を渡ることができた。

同時に、朱徳はほかの部隊と赤衛隊をひきいて、北側の渡船場へいそいだ。

そこにはすでに農民たちが川の中に一隻ずつ舟を横に並べ、河床に長い棒を打ちこんで、これに繋いで流されないようにして、その上に板を並べてにわか作りの橋をこしらえていたので、部隊はただちに渡河することができた。


彼らが渡河するとすぐ、数人のものが臼砲をもって、西門の真ん前の低い丘に向かった。
そこから臼砲をうちこんで「大騒ぎをひきおこし、敵軍をこの方面にひきよせよう」というのである。

真夜中に、朱徳は、馬蹄型地帯の内側にある、北門前の低い丘に司令部をおいた。

部隊と赤衛隊は、はしごをかついだ農民たちとともに、城壁の北側と東側をぐるりととりかこんだ。

何かの行きちがいから攻撃が始まっても、林彪はまだ南門に来ていなかった。



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by far-east2040 | 2018-12-07 09:00 | 第7巻「上杭の歌」改編