官立高等師範学校 『偉大なる道』第2巻①ー7

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休日には、朱徳は、あちこち歩きまわって、受験生たちと交わり、日本への留学とか成都高等師範進学などの計画をもつものに敬意を表しながら、その話をきいた。

ふしぎにも、すでに1年間日本に留学したという男のことを思い出す。
なんでも、その男が日本からぶんぶんうなってリュウマチをなおす電気機械を買って帰ったということが、印象に残っている。

彼ほど雄弁に、旧制の破壊と新建設という愛国の決意をのべる男はなかったが、その彼がいったいどうして帰国して受験したのかということは、朱徳には解けない謎としてのこった。

とにかくその男は、成都で医学博士の看板をあげて、その魔法の機械を使用するという計画をもっていた。


「君のリュウマチをなおしてやるよ。
いや、痛んで苦しいとこがあったら、どこでも」と彼は朱徳に向かってまくしたてた。

「ぼくはリュウマチなんかでない! 
痛くも苦しくもない。
ぼくは、生まれてから一日も寝込んだことはない!」

「そんなこと、どうでもいい」と、学生は、相手は田舎からひょこり出てきたものだとなめてかかってきた。
「おれの機械をかけると、君がやりたいことは何でも楽にできる力がつくぞ」

そして、ほかのだれよりもめちゃくちゃ安い料金にまけてやると強調した。

 
朱徳は、しつこい「新医学士」から逃れると、金でもすられはしなかったかと丹念にかぞえてみた。
減ってはいなかった。
あの男にとって、手ごわい相手だったのだ。


彼がきいたさまざまな話のなかで、いちばん引きつけられたのは、成都に新しく官立高等師範学校ができ、特に体育科が設けられ、そこで体育を1年間だけ修練すれば、出てから教師になることができるという話であった。

また、体育のほかに、その科では数学、地理、軍事教練をさずけるという。

体育は中国ではまったく新しいもので、朱徳も、いままで聞いたこともなかったが、1年たてば卒業できて、教師として自立できるとわかったとき、これでおれの問題はすべて解決したと思った。



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by far-east2040 | 2018-05-08 09:00 | 第2巻「革命への道」改編