煽られる内戦 「偉大なる道」⑤―4

f0364260_14572601.jpg


マーシャル将軍がアメリカへ帰って報告書を出したのは、国民党が攻撃を開始した7月22日から6ヶ月の後だったが、彼は内戦について国共双方を非難しながらも、誠実に次のようにのべていた。


「国民党反動グループは、彼らの封建的な中国支配の保持に熱心であり、……彼らが何をしてもアメリカは支持してくれると計算している」


朱将軍は後になって、マーシャルの失敗の原因はマーシャル自身というよりもアメリカ政府の政策にあったと語っていた。


アメリカの記者団が延安に飛んだ10月ごろには、蒋介石は兵力の80パーセント、253個師団のうち193個師団を内戦に動員していた。
朱将軍が記者たちに語った話しによると、1月の停戦協定がやぶれた根本の理由は、「独裁を続けようとする国民党の決意と、アメリカの蒋に対する激励と援助」であった。

国民党はヒトラー、フランコ、ヒロヒトのような専制政治を樹立しようと望んでいて、共産主義者と人民はそれをやっつけようと決意しているのだ。


国民党がふりまいている米ソ戦という風説のことにふれて、朱将軍はいった。


「そうした戦争を製造しているアメリカの反動の一団があるし、中国の反動どもは、それがすぐ起るのを望んでいる」


「だが、彼らの野心が実現されるとは思わない」と彼はつけ加えた。

「もしそうした戦争がはじまった場合には、われわれの態度は、中国人民に対する両方の側の態度いかんにかかっている……


「アメリカがとりうる、ふたつの異った政策がある。

ひとつは、中国をソヴェト同盟との友好のかけ橋にする政策であり、もうひとつは、中国を対ソ攻撃の戦場にする政策である。

前の政策はヘンリー・ウォーレス氏が主張するものであり、後の政策はアメリカの反動たちが主張するものだ。

われわれはそうした戦争の発生を阻止するであろう! 

そうしたおそるべき大惨害を心にえがくにつけて、われわれは何としても平和のために努力せざるを得ないのだ」


ところで、あの強大な国民党軍に対して人民解放軍はどれだけ持ちこたえることができるか。

この質問に朱将軍は冷ややかに微笑した。


「それは全くアメリカ反動勢力にかかっている、というのは、彼らは中国の反動を通じて、われわれに武器や弾薬を供給してくれるからだ……」


「わが国の人民や兵隊は、これが中国とアメリカの反動勢力とのはじめた戦争だということを、また、もしわれわれが負ければ、これまでに得たもののいっさいを失うことや、何百万人のものが絶滅されることを、知っている。

だから対日戦のときと同じく、全人民がわれわれを支持している……蒋に従属するものの多くも、内戦を欲していない。

だが、彼らはその命令にしたがうか、それでなければ彼と関係を断つしかない。

しかし、現在のような服従の時期はそう長くはつづかないだろう。

われわれは過去2ヶ月半のあいだに国民党の25個師団を全滅させたが、国民党は、わが軍の1個連隊さえ、全滅させることができなかった」


もし提供されたとすれば、ソビエト同盟の援助を受けるかという質問に対しては、朱将軍はこう答えた。


「今日われわれがもっとも求めている援助は、アメリカ人民からのものだ。

われわれは、アメリカの人民がその政府の不名誉な政策をやめさせることを、望んでいる。

私は衷心からいうが、われわれは、中国の独立と平和と民主主義とに同情するすべての人民、すべての国家に深く感謝するものであり、わが国の国内問題に干渉し内部闘争をかき立てるあらゆる反動勢力に反対するものである……」


その2週間後に、ひとりのアメリカ人記者が延安に飛んで、朱将軍にぶしつけな会見を申し込んだが、朱将軍もまたぶしつけな返答をした。


「わが国をアメリカに売ることによって設けている国民党の官吏や将軍や寄生虫だけが、この内戦を欲している!」


「アメリカ帝国主義は、日本帝国主義と同様に憎むべきものだ!」

彼はにがにがしげに断言した。

「アメリカ政府は、反動政府だ。

その反動勢力が、これまでに蒋介石につぎこんだ援助は30億米ドルをこえる。

これだけの金が、役人や軍閥がくすねた一部をのぞいて、すべて中国人を殺すために使われているのだ。

一年前にはトルーマン大統領の声明やマーシャル将軍の派遣に歓喜した中国人で、アメリカの兵器の犠牲にされたものが何万人といるのだ。マーシャルが和平をかたっていたあいだに、国民党とアメリカ政府とは、戦争準備をしていた」


1946年が終わりに近づくころには、華北と満州は中国人民の鮮血で彩られたが、もしひとりが前線で倒れれば、多くのものが彼に代わるというありさまだった。

人民解放軍は敵の勢力をけずり消耗させるため、大都市をすてて農村部に退いた。

国民党の士気はますます低下してゆき、いくつもの師団がそれぞれ師団ごと共産側に移りはじめるまでになった。


何千回の闘争できたえた鉄の規律をもち、死のみが絶つことのできる不屈の確信の装甲を身につけた人民解放軍は、いまや急速に最良のアメリカ兵器で武装しつつあり、彼らが遊撃戦と移動戦から正規の戦争へとすすむ時期は近づいてきている。

                             紫字はアグネス・スメドレー著 阿部知二訳『偉大なる道』より抜粋



[PR]
by far-east2040 | 2017-06-10 13:44 | 朱徳の半生(改編後削除予定)