抗日戦への自覚 長征③ー7

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四川の将軍たちが「日本帝国主義の露はらい」の道を選んだことは、歴史からみてもはっきりしているし、朱徳が楊森将軍の部隊と西康省ティエンフとミンヤーで2回交戦した後に書いた論文からも明らかである。

この戦闘中に多数の四川兵が紅軍に寝返っていた。


この論文では、捕虜の取り扱いと教育についても多くのページをさいて、こんなふうに書いている。

武装を解除してから捕虜を将校と兵士との集団に分け、別々の宿舎に入れる。
将校は監視下に置いて、兵士はふるいにかけて意識の高い方には紅軍に参加するように勧める。


「まずはじめに兵士をくつろがせてから、出身はどこで、兵隊になる前には何をしていたかをたずねる。

それから蒋介石のために戦ってどんな報酬があるかをきく。

負傷したら報いられるのか、死んだら家族はどう報いられるのか、死傷しない者はどんな報酬を与えられるのか。

どの問いに対する答えも『何もない』というだろうが、次々に問いたださなければならない。

次に兵隊ひとりひとりの家庭の状況を詳しく聴取した後、だれが彼の味方で、だれが敵であるかを説明してやる。

そうして階級意識も持つようになってから、われわれと国民党のそれぞれの政策と行動を比較して、さらに国民党と共産党の方針と行動を比較してきかせる。

どちらの党、どちらの軍が労働者農民の利益を代表し、どちらが地主と資本家の利益を代表しているか、どちらの軍が兵隊を教育、啓蒙し、どちらが兵隊を無知のまま放っておくか、どちらが日本帝国主義を支持し、どちらが反対しているか。


「われわれは兵士の生活の現実つまり彼が働いていた地主や資本家、兵隊になってからは将校から受けた圧迫や侮辱、罵倒や打擲から出発しなければならない。

われわれはまた、白軍では兵隊が病気や負傷をしても、ほとんど世話をしてもらえず、死ぬまで放っておかれる事実に留意しなければならない。
白軍をはなれた後は、彼らは金も住居もなく、重い税金が取られ、借金すれば高利をかけられる。

われわれはこうしたあらゆる事柄を互いに議論し、わが軍の兵士の扱い方と比較すべきである。


「捕虜の中には紅軍に加わることを希望する者がいるだろう。
ある者はもとの軍隊に帰って反乱を起こそうと考えるだろう。
また中には家に帰ってなんらかの革命運動に参加しようとする者がいるだろう。
家に帰ることを希望するものには、ゲリラ戦術と地主の土地の分配方法を教えるべきだ。
家族に会いたいというだけで帰宅を望む者にも、やはりゲリラ戦と土地分配のやり方を教えなければならない。
日本と戦うことを望む者は紅軍に加えて訓練する。
老いた職業兵士にも釈放する前にたえず教えこむべきで、彼らは旧軍隊の中での宣伝に非常に役に立つ。


「土地分配のことは捕虜の兵士たちに大きな効果を及ぼした。
というのはその中にはソビエト地区からきたものもいて、家族が土地の分配を受けていたからだった。
大部分の兵隊は軍閥や郷紳から強制的に徴兵された者で、何年も紅軍と戦ってきた者もいた。
多くの者は戦うことを望んでいない。
『紅軍は捕虜の腹を裂く、といつも将校が訓示していたから戦った』と全員がくり返し語った。もう一つの理由は、逃亡監視専門の下級将校が任命されていて、部下を見張っていたからでもあった。


「捕虜工作では、国民党の宣伝のうそいつわりを暴露し、国民党が放送する様々な考え方を粉砕しなければならない。
捕虜たちに日本の侵略と戦う自覚を促さなければならない」


朱将軍が抑圧を受けた状態で一年を過ごした西康省の環境は、彼の参謀の一人から聞いた出来事の一つからも想像できる。


「紅軍には、あらゆる職種をふくむ労働者農民がいたから、ヤク、羊、山羊などの毛を紡いで織って制服を作ったり、毛皮の外套や靴を作ったりした。

非常に標高が高く空気が希薄だったので、湯を沸かすには一時間もかかった。燃料がかさむので、食事はいつも半煮えだった。

……

ある戦闘が終わった後、私は朱徳について部隊といっしょに山道を行軍していた。

われわれは少数民族が住居に使う黒い天幕の一群にさしかかった。

漢民族の部隊が近づくといつものように、たちまち彼らはあらゆる食物を持って逃げていた。

われわれが一つの天幕に入ってみると、部隊の前方に派遣されていた15人の兵士を見つけた。

彼らは冷えた灰の塊を囲んで地面にあぐらをかいて座っていた。

われわれが呼びかけても答えはなかった。

彼らは頭をたれて彫像のように座ったままだった。

近づいてさわってみた。

凍死していた。

銃や背負袋は少数民族に奪われていた。

別の天幕では、5人がやはり冷えた灰の塊を囲んで背中に一発ずつ撃ち込まれたまま凍死していた」



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by far-east2040 | 2017-05-18 09:20 | 朱徳の半生(改編後削除予定)